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The two drops of oil

本と語学とアニメと映画、時々旅行。他にもいろいろ普段人前でしゃべり足りないことを書いてます(´-`*)

東北文学贔屓。寂しさに抱かれた美しさ。

寒いところで生まれ育った文学って、独特の雰囲気があると思います。

雪と氷に閉ざされ(?)たところで生まれ育った文学と言うだけで、

なんだか芸術的な気がしてしまう私は、短絡すぎるでしょうか…。

 

し・か・し!

青森出身の太宰治然り、岩手出身の宮沢賢治然り。

海外で言えばドストエフスキーツルゲーネフなどロシアの文学も、

その寒さから来る独特の空気感を作風から感じ取ることができます。

私は、生まれも育ちも関東なのですが、20歳を過ぎてから二年ほど、東北の山に囲まれたちいさな町に住んだことがあって、その時の経験が、東北文学(?)の真髄に迫る手助けをしてくれたと思っています。

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たとえば、関東に住んでいると雪なんてめったに降るもんじゃないので、

雪が降っても、「うわー電車止まるわ。だる。」とか、

「さむい。滑る。足元濡れる。」くらいにしか思えないのですが、

これが東北にいると日常的に雪に囲まれることになるわけなんですね。

むしろ、北国にいると、雪が降る日というのは、暖かく感じるんですよね。

なんでも、放射冷却と言う現象で、晴れの日は熱がどんどん空へ逃げてしまいますが、雪が降る日というのは空が雲に覆われていて、熱が逃げにくくなるからなんだとか。。

こまかいことは置いときますが、あの、すべての音が雪に包まれてしまうのではないかという、不思議な湿気を帯びた冷たい空気は、温泉地やスキーリゾートでは味わうことは難しい。

 

また、雪が深く積もると、その上を歩くとすぐに体が埋まってしまうので、

歩くことができなくなってしまうんですが( ゚Д゚)

日中に一度溶けかけた雪が、夜に再び凍ると、歩けるようになったりするんです。

そんな世界を見事に描いた作品が、宮沢賢治の『雪わたり』。

www.ehonnavi.net

これね、子供のころに読んだけど、やっぱり雪もろくに見たことないようだと、

わかんないですよ。

もちろん、想像することはできるんだけど、一年の半分近くが雪に閉ざされるような世界に生きていて、雪の向こうに行くことって本当に、“ワンダーランド”に冒険に行くようなもんなんですよね。

東北に引っ越してから、宮沢賢治の作品をかなり読み返したのですが、

もう、リアルなことリアルなこと!

銀河鉄道の夜』とか、ロマンチストが想像したファンタジーっしょ。

と思ってたのですが、「いやー…こりゃ、あるな。」と。

もちろん宮沢賢治の想像力だったり文筆力の高さによる傑作だとは思うのですが、

なんというかそれが、単なる想像の産物ではなくて、

ある程度経験則に近いもの沿って作られたのだという気がしてくるんですよね。

岩手県遠野市に、そのモデルとなったと言われる橋があるんですが。

www.asahi.com

今はなんでかライトアップとかされちゃってるんで、逆に風情も損なってますが、

周りになーんもないその土地で、夜も暗くなってから鉄橋の上を汽車が走る…

星空も、東京都は比べ物にならないほど。きっと彼の時代はもっと澄んで見えていたはずなので、きっと本当に鉄道が銀河旅行しているように見えたんだろうなぁ…と思います。

あと、寒いし雪で身動き取れないしってなると、人間家に籠ります。

籠ってじっとしてると、人間思索に耽ります。

日照時間が短いからでしょうか。思考はだんだん耽溺なものになったりもします。

なんで生きてるのか

何のために生きるのか

わからない。

じゃあ死んだ方がいいのではないか。

そう書いたのは私ではなく太宰治ですが(´・ω・`)←大事

晩年 (新潮文庫)

晩年 (新潮文庫)

 

でも、思考が深くて沈んだものになりがちなのは間違いなく。

実際、悲しいかな、自殺率も東北地方は昔から高い傾向にあるんですよね。

今は私、再び東北を離れて南国(?)でのほほんと暮らしているわけなんですが、

この独特の寂しさは、ぽかぽかしてて年中陽の光が降り注ぐようなところにいると、

なんだか非現実的なものに思えてきちゃうんですよね。

セロトニン様…

 

しかし、こうした宮沢賢治太宰治ドストエフスキーなんかに描かれる、

文学的孤独、寂しさはなんとも言えない独特の美しさがあり、

一度はまると抜けられなくなる中毒性があります。

寂しさや孤独と向き合える人って、美しさや幸福にも、

とても深い意味を見出すし、ものすごく微細な表現をしますからね。

惜しげもなく見せられるグラビアより、チラリズムにそそられるのと同じ感覚といったら失礼になりますでしょうか…。

本当に美しいんです。本当に。

そんなこんなで私の併読ラインにはいつも必ず一冊は、

寒いところ出身or寒いところが舞台の本が含まれている気がします…。

いつかはロシア文学をロシア語で…!と思っている者の、、、

まだまだ英語で手一杯の私なのでした…"(-""-)"