The two drops of oil

本と語学とアニメと映画、時々旅行。他にもいろいろ普段人前でしゃべり足りないことを書いてます(´-`*)

読書スピードと、本をゆっくり愉しむということ。武田百合子『富士日記(上)』を読みました。

もう10年近く前の話になりますが、大学受験の時に、本を速く読む習慣が身についてしまったように思います。

www.zynas.co.jp

読書速度を計測~速読トレーニングの前に | SP速読学院

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これらのサイトで自分の読書スピードを測ってみたら、だいたい1分あたり2800~3600字のスピードで本を読んでいるようです。

日本人の平均読書スピードは500~600字/分とのことなので、いわゆる速読者というわけでもないですが、読むのが速い部類には入るようです。

本を読むとき、例えば縦書きの文庫ならば、多くの人は文章の流れに沿って、一行ずつ縦に読んでいくことになると思うのですが、私の場合は一列ずつ横に読んでいる自覚があります。頭に入って来る内容は多分一行ずつ読んだ時と変わりないはずです。

これはすごく便利なのですが、詩集や随筆分を読むときはちょっと邪魔に感じることもあります。

詩集や随筆っていうのは特に著者の心象・内面に迫っていくものだと思うので、これを通常の速さで読んでしまうと、浮かび上がっていく情景も、早回しで見る映画のごとく、味気ないものになってしまう。私の場合はね。

なんで急にそんなことを言い始めるかと言うと、最近こちらの本を読んだから。

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武田百合子さんの『富士日記

富士山麓に山荘を構えて、暮らした13年を記した日記文学なのですが、

その素晴らしさは、時にゆったり、時に慌ただしく流れる日常をそのまま浮かび上がらせるような記述にあると思います。

それを、早回しのスピードで読んでしまったら…。

その良さが損なわれてしまうことは想像に難くないと思います。

別の喩えをするならば、例えばいつも車や電車で通っていて、通いなれた道も、たまに歩いてみると、まったく違うものが見えることがある。

そういう素晴らしさが日常には詰まっているものだと思うのです。

【速読】には賛否両論ありますが、私個人の意見としては、人間の生きる時間には限りがありますから、ある程度読書スピードを保ってできるだけ多くの考え、経験に触れることは、ものすごく価値があることだと思うのです。 

ただ、読書に限らず「速く!速く!」と急かされながら生きている私たちにとって、あえて“ゆっくり”、を意識すること。

この本を読みながら、そんなことを思いました。